旧約聖書あと一歩 第四回
「神の摂理は人の知恵にまさる」
大阪キリスト教短期大学教授 日本フリーメソジスト教団教職
石黒則年 氏
「ヨセフは兄弟たちに言った。…『私はあなたがたがエジプトに売った弟のヨセフです。…神はいのちを救うために、あなたがたより先に、私を遣わしてくださったのです。…だから、今、私をここに遣わしたのは、あなたがたではなく、実に、神なのです。」(新改訳 創世記45章4節〜8節)
アブラハムに約束された神さまの祝福のひとつは、約束の地カナンにおいて神さまを信頼する子孫が増えることでした。アブラハムへの祝福は女奴隷ハガルに生ませたイシュマエルではなく、正妻サラの子イサクに受け継がれ、更にはイサクとリベカの間に生まれた双子のうちエサウでなくヤコブへと継承されました。ヤコブはまた二人の妻レアとラケルおよび二人の側女によって十二人の男子と数名の女子をもうけました(現代と違って、当時は一夫多妻が認められていました)。家族が増えるということは確かに喜ばしいことです。でも、問題がなかった訳ではありません。年長者である十人の兄たちは、弟ヨセフに対する父ヤコブの溺愛をねたみ、そのうちの数人が共謀して、エジプトに向かう隊商にヨセフを売り飛ばしてしまいました(新改訳 創世記37章28節)。エジプトにおいて奴隷として生きることになったヨセフは様々の困難と格闘しながら成長し、ついにはエジプトの王パロに仕える高官となりました(同41章41〜43節)。
さて一方、カナン地方は雨が少なく、しばしば飢饉に見舞われましたので、ヤコブは子ども達にエジプトで食料を調達してくるように指示しました。不思議なめぐり合わせによって彼らは、期せずして弟ヨセフの前に頭を下げ、ひざまずくことになりました。ヨセフは一時、兄たちに対する復讐を考えたのかもしれません。しかし最後には彼らの悪行を赦し、弟ベニヤミンを含めてヤコブ一族全員がエジプトにきて飢饉をのがれるように提言しました。そこで語られたのが冒頭のことばです。
兄たちはヨセフに対して酷い扱いをしましたが、神さまは不思議な摂理によって彼らを救われました。
神さまは信仰者のために「すべてのことを働かせて益としてくださる」お方なのです(新改訳 ローマ書8章28節)。あなたも神さまに信頼して生きてみませんか。

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