Column in May 2008

連載コラム

旧約聖書あと一歩 第5回

| HOME | KPD_Monthly News | 「福音の光」コラム2008年5月号 |

更新日 2010-05-28

旧約聖書あと一歩 第五回

「逆境の中にも神の導きがある」

大阪キリスト教短期大学教授 日本フリーメソジスト教団教職
石黒則年 氏

column0805.tif  イスラエル人は多産だったので、おびただしくふえ、すこぶる強くなり、その地は彼らで満ちた。さて、ヨセフのことを知らない新しい王がエジプトに起こった。彼は民に言った。「…さあ、彼らを賢く取り扱おう。…敵側についてわれわれと戦い、この地から出て行くといけないから。」(新改訳 出エジプト記1章7〜12節)

 カナンの地に住んでいたヤコブの一族は、飢饉を避けるためエジプトに避難しました。当時のエジプト北部(ナイル川下流のデルタ地帯)はヒクソスという外来の民によって支配されていたので、同じように外来の民であったヤコブの一族も受け入れられ、また、その人数を増やしていきました。イスラエル(ヤコブの別名)の十二部族は、数百年間、安心して生活できました。

 しかし時とともにナイル川上流に新しいエジプト人の王朝が起こり、ナイル川河口地帯まで支配が及ぶようになりました。「ヨセフのことを知らない新しい王」が出て来たのです。イスラエル民族の運命は逆転し、奴隷にされてしまいました。彼らは虐待され、繁栄を阻止するためにエジプト王から、「生まれてくる男子は皆、ナイル川に投げ込んで殺してしまえ」という命令を受けるまでになりました(新改訳 出エジプト記1章22節参照)。そのような逆境に置かれて初めてイスラエルの人々は、約束の地への帰還を考えるようになったのです。たとえ表面的に繁栄していたとしても、エジプトに留まることは神さまのみ心ではなかったのです。

 神さまはモーセを誕生させ、さらに彼がエジプトの王女の下に育てられるよう、不思議な道を備えてくださいました(同2章)。この「出エジプト」の背景から何を教えられるでしょうか。神さまの期待は、私たちが経済的に恵まれ、気楽な生活ができれば良いというのでなく、神さまの意図された場所において(イスラエル人の場合はカナンにおいて)祝福され、その祝福を周囲の民に分かち、神さまを証しすることなのです。そのため、神さまは敢えてイスラエル人に逆境を与えられたのです。  「あなたがたのうちに苦しんでいる人がいますか。その人は祈りなさい…」(新改訳 ヤコブ書5章13節)とあります。時として神さまは苦難の中で私たちに静まって祈る機会を与えられるのです。時には、そのような可能性について考えてみましょう。

連載コラム第四回へLinkIcon